抵当権とは簡潔に話すと「担保」です。金融機関は、不動産投資案件に融資する際、融資先の不動産に抵当権を設定することで担保とします。
担保にすることで、借入者が返済不能の状態になれば、その不動産を金融機関主導で処分することができるのです。
つまり、金融機関は融資をする代わりに、「返済できない」という最悪の場合を想定し、不動産に抵当権を設定することでリスクヘッジしているというわけです。
抵当権・根抵当権(担保権)の抹消
では、なぜ抵当権を抹消する必要があるのでしょうか?その理由は、その不動産を第三者に売却するために必須だからです。
たとえば、Aさんがマンションを所有しており、Z銀行が抵当権を設定しているとします。仮に(あり得ない話ですが)、Z銀行の抵当権が設定されたままBさんに引き渡されたらどうなるでしょうか?まず、Bさんは融資を利用できません。仮に、BさんがY銀行に融資を依頼しても、「Z銀行が抵当権を設定しているので、うちの抵当権は第二順位になる。それだと融資できない」という状態になるのです。仮に、Bさんが現金で購入する場合には、Aさんが融資を受けたZ銀行の抵当権が設定されたまま住み続けるので、現実的におかしな状況になってしまいます。そのため、抵当権を抹消してから第三者に売却(引き渡し)するという流れになるのです。
抵当権を抹消する方法は、抵当権の抹消登記をすることです。そもそも、抵当権はその不動産の「所有権」などと同じように登記されています。登記されることで、第三者に対抗するためです。不動産の権利は、全て「登記」しているかどうかにかかっています。仮に、抵当権を登記していなければ対外的に担保として証明できないので、抵当権も設定登記をするというわけです。そして、その抵当権を抹消するときも、「抹消する」という登記をすることになります。
まずは、抵当権を抹消するときには、以下の前提条件があることを理解しておきましょう。
●住宅ローンを完済している
●必要書類を用意している
大前提として、住宅ローンを完済していないと抵当権を抹消できません。
上述したように、そもそも抵当権は金融機関が融資先の不動産を担保とするために設定しています。
言い換えると、抵当権を抹消するときは担保設定が不要なときであり、それはローンを完済したときになるのです。
つまり、不動産を売却するときには、ローンを完済しないと売却できないともいえます。
次に、必要書類を用意していることです。
具体的な書類については次項で解説していきますが、大半の書類は金融機関が用意します。
次に、抵当権抹消にかかる期間を解説します。
抵当権抹消は概ね2週間程度かかり、内訳は以下の通りです。
●必要書類と申請の準備:1週間ほど
●登記官の審査や調査:1週間ほど
実際に登記する司法書士は仲介会社が選定してくれますし、実際の手続きは司法書士が行います。
また、基本的には仲介の担当者がスケジュールを管理してくれるので、それに従っていれば問題はありません。