相続の時に未登記の建物は放置NG?登記義務化と必要手続きを解説

06相続 未登記の建物

未登記の建物を相続する場合、登記の義務や固定資産税の扱い、そして名義変更など、何から手を付けていいのか分からず困っていませんか?
「親の古い家が未登記だった」「相続人が多くて協議が進まない」「解体するにも手続きが不明」そんな不安を抱える方は決して少なくありません。

 

実は2024年4月の不動産登記法改正により、相続登記は義務化され、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される可能性があるのです。
加えて、表題登記や所有権保存登記、解体時の滅失登記や課税対策まで、対応すべき内容は多岐にわたります。

 

本記事では、司法書士や土地家屋調査士の協力が必要な場面や、行政手続きに必要な書類、登記に伴う課税影響、遺産分割協議書の具体例などを専門家目線で分かりやすく解説します。
最後まで読むことで、相続人として「何を、いつまでに、どう準備すればよいか」が明確になり、余計な費用や手間、トラブルを未然に防ぐことができます。

 

今こそ、相続と未登記建物の問題に向き合い、確実な対策を始めるタイミングです。

 

相続手続きの専門サポート - 司法書士法人ふたば総合事務所

司法書士法人ふたば総合事務所では、相続に関する複雑な手続きやお悩みを解決するお手伝いをしております。相続登記、遺言書作成、遺産分割協議書の作成など、多岐にわたるサービスを提供し、どのようなケースでも安心して対応いたします。相続税の申告や相続人調査、遺産分割に関するアドバイスまで、専門的な知識をもとにお客様一人ひとりに最適な解決策を提案させていただきます。また、相続手続きに関して不安や疑問を感じている方々に対して、わかりやすく丁寧に説明し、安心して手続きを進められるようサポートいたします。相続でお困りの際は、ぜひ司法書士法人ふたば総合事務所にご相談ください。

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相続で問題になる「未登記建物」とは?基礎知識とトラブルの要因

未登記建物とは何か?法的な定義と対象になる物件の種類

 

未登記建物とは、法務局に登記されていない建物を指します。通常、建物を新築・取得した場合には法務局で登記を行い、「表題部」と「所有権保存登記」を備えることで、その存在と所有者が公的に証明される仕組みとなっています。しかし、何らかの事情でこの手続きを行っていない建物が、相続の現場では多数存在しており、大きなトラブルの原因となることがあります。

 

未登記建物の主な例としては、戦後に建てられた古い木造住宅、増築や改築部分のみが未登記になっている建物、農地の倉庫や物置、別荘として使用されている簡易建築などが挙げられます。特に古い建物の場合、建築当初に登記義務がなかったケースや、必要書類が紛失してしまいそのまま放置されている例が多く見られます。

 

登記が行われていない建物であっても、建物が存在している限り法的には「不動産」としての価値があり、相続財産に含まれます。しかし、その所有権や価値を証明するための公的な記録がないため、遺産分割協議や名義変更、売却などの場面で不明瞭な点が多くなり、相続人間の協議が長期化する原因となるのです。

 

また、固定資産税の納税義務者が明確でないまま納税だけが続いている場合もあり、役所に「未登記家屋所有者変更届」を出していたとしても、法務局での登記がなければ法的な所有権の証明にはなりません。このようなケースでは、登記簿上に所有者が存在しない状態となり、相続開始後に建物の存在を法的に認めさせるための「表題登記」や「所有権保存登記」を相続人が行う必要があります。

 

相続において未登記建物と判断されやすい物件の特徴

 

物件のタイプ 未登記の可能性が高い理由
古い木造住宅 昭和以前の建築で登記制度が徹底されていなかった
増築・改築部分 追加部分のみ登記されていないことがある
離れの物置・車庫など 建物として認識されず登記されていないケースが多い
農業用倉庫や小屋 自己利用が前提で登記が軽視されることが多い
自作のプレハブ建物 建築確認がないまま建てられ、登記がされていない

 

未登記建物の存在は、表面上の財産調査では見つけにくく、現地調査や建物図面、課税台帳との照合が必要です。万一、故人が所有していた建物が未登記であると判明した場合には、できるだけ早期に調査を行い、司法書士や行政書士などの専門家の助力を得ながら登記手続きを進めることが望ましいです。手続きを怠ると、次の世代でより大きな権利関係の混乱や法的トラブルに発展するリスクがあります。

 

未登記建物の相続登記は必要か?制度と義務化対応

いつまでに何をすればいい?登記申請の期限と罰則内容

 

相続登記の義務化がスタートしました。これにより、被相続人が所有していた不動産を相続した場合、原則として相続開始および不動産の所有を知った日から3年以内に相続登記を完了させる必要があります。このルールは、登記されていない建物、いわゆる未登記建物にも当然適用されます。

 

この義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料とは行政罰の一種であり、いわゆる「罰金」ではありませんが、法律上の義務違反に対する制裁措置として非常に重い意味を持ちます。相続人が複数存在する場合は、代表者のみならず全ての相続人が過料の対象となり得るため、注意が必要です。

 

さらに、未登記建物の相続手続きは一般的な不動産と異なり、まず建物としての存在を登記簿上に明らかにする「表題登記」を経たうえで、「所有権保存登記」を行う必要があります。このため、通常の登記よりも準備すべき書類や工程が多く、期限ギリギリでの対応では間に合わないリスクもあります。

 

相続人が登記を行わないまま建物を放置すると、第三者への売却や贈与、担保提供などが法的にできないだけでなく、相続人同士の間でも相続分の主張や売却調整が困難となります。これは、特に将来的に「遺産分割協議」が必要になった際や、別の相続人が亡くなって新たな相続が発生したときに、手続きがより複雑化する原因にもなります。

 

相続登記義務化の概要

 

内容 詳細
義務開始日 2024年4月1日
登記申請期限 相続開始および所有を知った日から3年以内
対象となる不動産 登記済建物、未登記建物、土地すべて
義務違反に対する過料 10万円以下

 

申請期限を過ぎてしまうと過料が発生するだけでなく、「相続人が責任を持って管理していない」とみなされ、建物解体や公共の支障除去の対象になることもあるため、放置せず速やかに対応することが重要です。

 

不安がある場合は、登記手続きに精通した司法書士や土地家屋調査士に相談し、早めの手続きを行うことが確実です。全国の法務局や各自治体でも無料相談を受け付けていることが多く、情報収集だけでも早めに行動しておくと安心です。

 

表題登記と所有権保存登記の違いと順序を正しく理解する

 

未登記建物の相続登記を行うには、通常の登記済不動産とは異なる手続きが必要になります。特に重要なのが、「表題登記」と「所有権保存登記」という2つの手続きの存在です。この順番や役割を正しく理解しておかないと、申請が通らないばかりか、再申請による時間的ロスが発生する可能性もあります。

 

表題登記と所有権保存登記の比較

 

区分 表題登記 所有権保存登記
担当専門家 土地家屋調査士 司法書士
主な内容 建物の存在や構造、面積の登録 所有者の名義を正式に記録
必要書類 建物図面、各種証明書、測量資料 遺産分割協議書、戸籍謄本、固定資産評価証明書など
登記の順序 最初に行う 表題登記後に実施
登録免許税の有無 原則不要 登録免許税が必要(評価額の0.4%が目安)

 

この順番を誤って所有権保存登記だけを先に行おうとすると、法務局で受付を断られるケースがほとんどです。特に古い建物や増築が繰り返されている場合、図面との整合性が取れず、再調査が必要になることもあります。そのため、現地の実情と資料との整合をしっかりと確認した上で、登記申請の計画を立てることが成功の鍵となります。

 

また、相続人が複数いる場合は、「遺産分割協議書」で誰が建物を相続するのかを明記し、全員の同意を得たうえで登記を行う必要があります。遺言書がある場合でも、法的要件を満たしていなければ登記に反映できないことがあるため、専門家の助言が不可欠です。

 

以上のように、未登記建物の相続登記は通常の登記以上に手続きが複雑かつ段階的であり、一歩間違えると大幅な時間ロスや余計なコストが発生します。登記の順序や役割分担を正しく理解したうえで、早期に準備を進めることが大切です。相続登記義務化の影響で申請が集中している地域もあるため、早めの行動がトラブルを未然に防ぐことにつながります。

 

未登記建物の相続登記に必要な手続きと準備書類のすべて

未登記建物の登記に必要な書類一覧と取得先

 

未登記建物の相続登記を進めるには、複数の書類を揃える必要があります。これらの書類はすべてが法的効力を持ち、登記申請時の審査において欠かすことができません。特に建物が古く未登記のまま放置されていた場合、図面や所有者の確認が困難になるケースもあり、手続きの難易度が上がります。

 

古い未登記建物で図面が残っていない場合は、土地家屋調査士による現地調査と実測で新たに図面を作成できます。ただし追加費用がかかるため、事前に見積もりを取るのがおすすめです。

 

登記申請は自分で行うことも可能ですが、書類の不備による差し戻しが多いため、司法書士に依頼する方が安全です。特に相続関係が複雑だったり、金融機関や相続人間での調整が必要な場合は、専門家のサポートが欠かせません。

 

また、未登記建物が課税対象になっていない場合でも、後から課税されたり、申告を求められるケースもあるため注意が必要です。

 

未登記建物の登記は、相続登記義務の履行や所有権の明確化、売却や解体をスムーズに行ううえで非常に重要です。2024年の法改正により相続登記が義務化され、放置すれば過料(10万円以下)のリスクもあります。

 

書類の収集は単なる手続きではなく、相続人全員が状況を把握し責任を共有するための重要なプロセスです。専門家と連携して正確に進めることが、トラブルを防ぐポイントになります。

 

遺産分割協議書の作成方法と記載すべき具体例

 

未登記建物の相続登記には、登記申請書だけでなく「遺産分割協議書」の提出が必須となる場合があります。特に法定相続人が複数いるケースでは、建物の所有者を誰にするかを明確に合意しておくことが、後のトラブルを防ぐ鍵になります。

 

協議書の作成は法律で書式が厳格に決まっているわけではありませんが、次のような内容を網羅する必要があります。

 

  1. 被相続人の氏名と死亡日
  2. 相続人全員の氏名・続柄・住所
  3. 相続財産の内容(未登記建物を含む具体的な記載)
  4. 誰が何を相続するのかの分配内容
  5. 相続人全員の署名と実印による押印

 

「口頭で合意したから書類は不要」というのは誤解です。登記手続きでは法務局に文書での証明が必要なため、遺産分割協議書がなければ手続きは進みません。

 

相続人が高齢・遠方・所在不明の場合は、郵送・代理人・委任状の提出が必要となることがあります。また、署名や押印の不備があると再提出となり、手続き全体が遅れる可能性があるため注意が必要です。

 

協議書の作成を自分で行うことも可能ですが、記載ミスや相続人間のトラブルを防ぐため、専門家によるチェックが安心です。未登記建物では財産の特定が曖昧になりやすく、文書の正確性がより重要になります。

 

さらに、印鑑証明書も必要で、有効期限(通常3か月)に注意してスケジュールを組む必要があります。

 

実際には、相続人全員の同意が得られないことが最大の課題です。この場合、家庭裁判所での調停申立てが必要になり、時間や費用が大きくかかります。スムーズな手続きのためには、早期の合意形成と文書化、そして専門家との連携が欠かせません。

 

未登記建物を解体する場合に必要な届出

解体時に必要な行政手続きと解体証明書の取得方法

 

未登記建物を解体する際には、行政への届出と証明書の取得が欠かせません。

 

解体時の行政手続きと必要書類一覧

 

手続き名称 提出書類 提出先 取得先・発行機関
滅失届 解体日・建物概要を記載した申請書 市区町村役場 市区町村役場
解体報告書(任意) 解体写真・除却証明書 必要に応じて添付 解体業者・本人作成

 

さらに、行政手続きには地域差があるため、提出書類のフォーマットや内容が自治体ごとに異なることがあります。東京都や大阪市などの大都市圏では、オンライン申請や事前予約制度を導入していることもあるため、必ず管轄市区町村のホームページで最新情報を確認するようにしましょう。

 

まとめ

未登記の建物を相続した際には、登記の有無がその後の相続手続きや税務対応に大きく影響します。特に2024年4月から相続登記の義務化が始まり、正当な理由なく登記を放置すると10万円以下の過料が科される可能性があるため、早急な対応が求められます。

 

未登記建物に関する登記手続は、「表題登記」と「所有権保存登記」の2段階が基本であり、それぞれ土地家屋調査士や司法書士の関与が必要となるケースも多くあります。また、登記には固定資産評価証明書や家屋図面、戸籍、遺産分割協議書など複数の書類が必要で、事前の収集と確認が鍵を握ります。

 

「自分で登記申請できるのか」「書類に不備があったらどうなるか」「協議書がまとまらない場合どうすればいいか」といった不安を抱く方も多いでしょう。こうした悩みに対応するには、司法書士など専門家への相談や、早期の相続人間での協議が効果的です。

 

さらに、未登記のまま建物を解体する場合は、滅失登記や建物除却証明書の取得、そして解体後の固定資産税の課税対応にも注意が必要です。適切な手続きを踏まなければ、無用な税負担や相続トラブルを招くおそれがあります。

 

相続と未登記建物の問題は、放置するほど複雑化し、費用や手間も増大します。この記事を通じて必要な知識と対策を押さえ、トラブルを回避しながらスムーズな相続手続きを進めましょう。信頼できる専門家と連携することが、安心・確実な相続への第一歩です。

 

相続手続きの専門サポート - 司法書士法人ふたば総合事務所

司法書士法人ふたば総合事務所では、相続に関する複雑な手続きやお悩みを解決するお手伝いをしております。相続登記、遺言書作成、遺産分割協議書の作成など、多岐にわたるサービスを提供し、どのようなケースでも安心して対応いたします。相続税の申告や相続人調査、遺産分割に関するアドバイスまで、専門的な知識をもとにお客様一人ひとりに最適な解決策を提案させていただきます。また、相続手続きに関して不安や疑問を感じている方々に対して、わかりやすく丁寧に説明し、安心して手続きを進められるようサポートいたします。相続でお困りの際は、ぜひ司法書士法人ふたば総合事務所にご相談ください。

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よくある質問

Q. 未登記建物の相続登記にかかる費用はいくらくらいかかりますか
A. 未登記建物の登記には、土地家屋調査士による表題登記費用が5万円〜15万円程度、司法書士による所有権保存登記は5万円〜10万円程度が相場です。加えて登録免許税や印紙代も発生します。さらに家屋図面がない場合は実測調査費用が追加されることもあり、全体で10万円〜30万円ほどを見込んでおくのが安全です。相続人が複数いて遺産分割協議書が必要な場合には、作成に関する専門家の報酬も発生するため、事前見積もりが重要です。

 

Q. 解体した未登記建物の固定資産税は自動で止まりますか
A. 建物を解体しただけでは固定資産税は自動で停止されません。滅失登記や建物除却証明書を自治体に提出しなければ、建物が存在するものとして引き続き課税されてしまいます。解体後に申請を怠ると、毎年数万円〜十数万円の税負担が継続されることがあり、非常に損です。

 

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